始まりの足音

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「リサ様、またですか?そろそろ落ち着いてほしいのですが、はぁ……さっさと部屋へ戻りますよ」 その声に顔を向けると、真下には私についている護衛騎士、リチャード。 彼も古くからの友人で、護衛騎士という立場だが、気心しれた相手だ。 「リック、今回は見逃してくれない?面白い古本を見つけたの、一度試してすぐ戻るから、お願い」 私はそう叫ぶと、ヒラリと窓から飛び降りる。 彼へ軽くウィンクを見せると、スルリと横を通り抜け、私は聖堂の方へと走っていった。 幼いころ、両親に連れられこの城へやってきた。 そこで出会ったのが、クリストファーとリチャード。 クリストファーは生意気な王子、よく言い争いになることもあるけれど、話していると楽しいんだよね。 リチャードは冷静沈着で真面目な騎士、私たちを仲裁してくれて、答えをくれる。 そんな彼らと私はすぐ意気投合すると、よく三人で遊ぶようになった。
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