始まりの足音

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クリスとお城の中を探検したり、リックに剣を教えてもらったり。 喧嘩をしてもすぐに仲直りして、バカ騒ぎして、夜の城内を探検したり。 あの時間が一番幸せだった。 王子と仲の良い私を見て、両親と国王が話をしたのだろう、気が付けば私は王妃候補となり、彼の婚約者になってしまった。 互いの同意などない婚約に、私とクリスは怒りが治まらなかった。 だけど子供の私達にはそれを取り消す術などない。 二人であれやこれやと策を練ってみたが、そんなものに何の意味はなかった。 婚約話が進んで行く中、私たちはいつも遊んでいた庭に座って、暗い表情で大きなため息をついた。 「あぁ……本当に俺とお前が婚約するのか?はぁ……俺は聖女と結婚するはずだったのになぁ。こんなじゃじゃ馬女が婚約者なんて……」 「お言葉ですけど、こっちだって願い下げよ。生意気王子の王妃なんてまっぴらごめんだわ。それに王妃教育も大変だし、この城から出ることだって出来なくなる。……私はもっといろんな場所へ行って、いろいろなものを見たかったのに!」 「はぁ……二人とも落ち着け。王が決めたことだ。いくら文句を言っても覆せない。それに知らない相手じゃないだけ、マシじゃないのか……?」 リックの言葉に、私とクリスは顔を見合わせると、また深いため息をついた。 目の前には美しく咲き誇った花が、太陽の光を浴び生き生きと揺れている。 その姿に私はある事を閃いた。
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