始まりの足音

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そう決意したのが、今から数年前。 王都の図書館で本を読み漁ったけれど何も見つからない。 けれど、今日とある部屋で、埃の被った古い本を見つけたの。 そこに書いてあったのは、探し続けていた聖女を召喚する方法だった。 表紙を見る限り正規で発売した本ではない。 だけど試さないって手もない。 だから私は今日、本を片手に聖堂に向かいたかったの。 聖堂、そこは異世界から聖女様がやってくる場所。 現れた時にはこの聖堂の天辺にある鐘が大きな音を立てると言い伝えられている。 その音を聞いたことはない、只の言い伝えで、本当は何もないのかもしれない。 リチャードが後ろをついてきているのは知っている。 彼はいつもそう、捕まえないで見守っていてくれるの。 友達の特権ってやつかしらね。 私はシーンと静まり返った聖堂へ入ると、中からひんやりとした空気が吹き込んできた。 本を開き書いてある通りに中へ入ってみると、突然地面が揺れ体が大きく傾く。 そのまま強く床へ体を打ち付けると、目の前が暗闇に染まっていった。
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