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始まりの足音
大理石で造られた広い廊下を真っすぐに駆け抜けていく。
後方からは私を追いかけてくる騎士の姿。
踝ほどまであるスカートに足がもつれそうになると、私はグイッとスカートを持ち上げた。
「お待ちください、お嬢様」
「お嬢様!!お部屋へお戻りください!」
全くうるさいなぁ、少しぐらいいじゃない。
ここはいつもと同じように……。
私は廊下の突き当りにある部屋を目指すと、ノックもせずに勢いよく扉を開いた。
「ごめん、かくまって」
バタンと勢いよく扉を閉めると、外からは戸惑う騎士の声が耳にとどく。
そんな様子にほっと息をつき顔を上げると、カーテンが閉められた薄暗い寝室で、ベッドに男女の姿が見える。
そこから徐に人影が動くと、女の悲鳴と男の呆れたため息が耳にとどいた。
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