ハゲと帽子と私 その3

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ハゲと帽子と私 その3

そうそう、抗がん剤の話も少しだけ。 今ってね、副作用の吐き気を止めるために 事前に吐き気止めを点滴するんだけども その点滴も副作用で吐き気を起こすそうで、 それを防止するために更に吐き気止めを飲むという 何とも不可思議な準備段階を経て点滴は開始される。 このルーティーンは病院によっても違うかもだけど。 ほんで、その点滴には薬剤を溶かしやすくするため(だったかな)に アルコールが混ぜられるそうで、アルコールに弱い人は それにやられてしまうんだそうな。 体質は薬では抑えられないみたい。 かくいう私は手術日前日から断酒状態。いわゆる飢えた吞兵衛。 この月一の点滴の時だけ、あのお酒に酔ったふわふわ感が味わえる なかなかご機嫌な時間であったのを覚えている。 ・・・ということを担当医に話したことも覚えている。 そう。全身の毛が脱毛し、ケア帽子が板についてきた頃には すっかり点滴慣れした私が誕生していたのであった。 ※良い子のみんなは真似しないように。
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