贈る言葉。

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 綺麗なラッピングに包まれた青のエゾギク。  これは彼と付き合って半年を迎える今日、私が近所の花屋で買ったものだ。 後で彼と会うときにサプライズとして渡すつもりである。  花言葉は「信頼」。 それでいて、「心配」。  実に今の私の心情と一致していた。  半年前、私は彼を信頼していたから付き合うことを決めたわけだけれど、やはり他の女の子に目移りしてしまわないか心配しているのだ。  ──無論、その目移りにおける原因を彼だけに負わせるつもりはない。 そうなった場合、私にも何かしら原因がある筈だから。 素直な考えだって思わない?  よってこのエゾギクに、私のも刻んでおくつもりだ。 ただの祝花として渡すのは勿体無い。 これは彼と私の二人で作り出される花だ。  刃を小出しにしたカッターを使い、クリアフィルムのラッピングを剥がす(後から綺麗にラッピングし直すつもりだ)。 すると仄かな香りが鼻先をくすぐった。  ──そして、全ては誓いのために。  先程より出した刃先を(動脈からやや離れた位置)に宛てがい、ぐっと力を込める。 皮膚を破る鋭利な痛みと共にぷつりと溢れ出した、鮮血。 私はそれを無駄にしないよう、懇切丁寧エゾギクの青い花弁へ垂らした。
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