悪ガキ3人組の過去、そして現在。

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悪ガキ3人組の過去、そして現在。

【南小のヒロ、イチ、マサ】といえば、近所でも有名な悪ガキだった。 学校からチョークを盗んではあらゆる所に落描きを残し、ピンポンダッシュで町内を一周してそれぞれのタイムを競い合い、他人の家の庭に忍び込んで飼い犬のリードを外し脱走させ、言い出せば切りがないほどのくだらない悪事を重ねては怒り狂った大人たちに追い回される日々。 捕まってゲンコツを食らわされ、頭に3つもタンコブを作って説教を受けながらも、「明日は何する?」なんて3人で耳打ちしながらクスクス笑っていた。 ヒロこと鳴海 真尋は、文武両道・眉目秀麗・明朗闊達なんて褒めの四字熟語を総なめするような男で、劣等感のれの字も知らない完璧超人だった。そのくせ思い付いた悪戯を真っ先に実行するのはこいつで、言わば俺たち悪ガキ3人組の司令塔。 イチこと八雲 理壱は、同年代と比べて頭1つ分ほど背が高く、切れ長の涼しい瞳が印象的な男前。表情のバリエーションと口数は少ないがノリは良く、運動神経が抜群で逃げ足が速かった。悪戯がバレて俺とヒロが走り出した瞬間には、もう奴の影はなかった。 そして俺、マサこと佐倉 雅紀。特筆すべき点など何も無い凡人である。どうにか絞り出して自分の特徴を挙げるなら、両鎖骨の同じ位置に小さなホクロがある所くらい。 そんな1つの共通点もない俺たち3人は何故か馬が合い、気がつけば何をするにも常に一緒だった。いつの間にか親同士も仲良くなって温泉旅行に行っていた。 思えばあの頃が1番楽しかった。 馬鹿で純粋な俺たちの過ごす毎日は、無数の星が四方八方散らばったように燦然と輝いていたのだ。
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