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若葉のような、新芽のような
新しい場所に来ると、近隣を探索するのが休日の楽しみでもある。
通勤するための最短路から外れるだけで、いろんなものに出会える。
隠れたパン屋があった。ブランコ一つだけの公園があった。通勤するのと反対方向に小学校があった。そして…
路の端の端にはやっぱりあいつが咲いていた。
少し先の道路で、小学生?だろうか、5,6人がスケッチブックのようなものを持って、道路の端っこをじっくり見ている。何かの観察でもしてるのかな。
「ハルジオンだよ!ほら花びらの形が違うもん!」
「ほんとだ!なんか違う!」
「お前スマホ使うなって先生に言われただろーが!ズルすんなよ!」
「しょうへいが図鑑忘れたせいだろう!他にもスケッチしなきゃいけないんだからいいじゃんか!」
「もー邪魔になるから一本摘んで、帰ってから描こうよ!」
「知らないの?この花摘んだら貧乏になるんだぞ?ばあちゃんが言ってた!」
にぎやかな声。男女関係なく、等身大で、ぶっきらぼうに会話ができる年頃。
日の光を浴びた新芽のように健やかに育ってほしいものだ。
…それはさておき、気になる言葉が出てきたな。
ハルジオン?貧乏になる?
私は彼らの横を通り過ぎる際、ちらりと咲いている花を見た。
あの花だ。ヒメジオン。
…………
ハルジオン 花言葉 検索
花言葉は「追想の愛」
…あぁ、私にぴったりだ。
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