若葉のような、新芽のような

1/1
前へ
/14ページ
次へ

若葉のような、新芽のような

新しい場所に来ると、近隣を探索するのが休日の楽しみでもある。 通勤するための最短路から外れるだけで、いろんなものに出会える。 隠れたパン屋があった。ブランコ一つだけの公園があった。通勤するのと反対方向に小学校があった。そして… 路の端の端にはやっぱりあいつが咲いていた。 少し先の道路で、小学生?だろうか、5,6人がスケッチブックのようなものを持って、道路の端っこをじっくり見ている。何かの観察でもしてるのかな。 「ハルジオンだよ!ほら花びらの形が違うもん!」 「ほんとだ!なんか違う!」 「お前スマホ使うなって先生に言われただろーが!ズルすんなよ!」 「しょうへいが図鑑忘れたせいだろう!他にもスケッチしなきゃいけないんだからいいじゃんか!」 「もー邪魔になるから一本摘んで、帰ってから描こうよ!」 「知らないの?この花摘んだら貧乏になるんだぞ?ばあちゃんが言ってた!」 にぎやかな声。男女関係なく、等身大で、ぶっきらぼうに会話ができる年頃。 日の光を浴びた新芽のように健やかに育ってほしいものだ。 …それはさておき、気になる言葉が出てきたな。 ハルジオン?貧乏になる? 私は彼らの横を通り過ぎる際、ちらりと咲いている花を見た。 あの花だ。ヒメジオン。 ………… ハルジオン 花言葉  検索 花言葉は「追想の愛」 …あぁ、私にぴったりだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加