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思い出
通学路の端の端、あの花の色は何色だったか。
3年間、同じ道を通ってきた。道草や遠回りをしたくて、通らないこともあった。
「じゃあ、また。」
「…うん、またね。」
最後の登校日も、同じ場所で分かれた。
あの時の彼の顔はどんなだったのか。
笑っていたのだろうか。
困った顔だったのか。
涙をこらえていたのか。
あふれる涙を必死にこらえた私の瞳は、その時の彼の顔をとらえることはできなかった。
いいや…その前から…私は、彼の顔を見れずにいた。
通学路の端の端。ぽつりぽつりと咲いていた、あの花たちしか見れなかった。
あの花の色は何色だったのか。
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