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花言葉は語る
「みつ姉! これあーげーる!」
妹の松里はことあるごとに私に花を贈ってくれる。本物の花を世話するのは私の性格上すぐに放り出してしまう為、キーホルダーやストラップの類いではあるのだけれど。
友達と喧嘩した時にはアマドコロ。
体育祭で私のクラスが優勝した時には桃。
受験戦争に打ち勝った時にはノウゼンカズラ。
松里は、私が花言葉なんて知っているわけがなく、調べるようなタイプでも無いと思っている。それは間違ってはいない。家に遊びに来た友達が、私の部屋に飾られているキーホルダーを見て教えてくれるまでは、あまり気にもとめていなかった。
「ありがとー松里。これってバラ?」
「そう! バラ! キレイでしょー」
今日松里がくれたのはバラを象ったストラップだ。淡い黄色がなんとも可愛らしい。
妹が自分の部屋に戻ったのを確認してから、スマホを手に取り、早速花言葉を検索する。
「バラ…バラ…黄色いバラは…――――――」
黄色いバラの花言葉は『あなたを愛しています』。ストラップの中にはバラの花が三つ見えている。これは『告白』という意味でいいのだろうか。
私は財布をてに部屋を出た。目指す先は駅前の雑貨屋。
愛しい妹への返事の品として、四つ葉のクローバーのキーホルダーを買ってこねば。
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