2.父の日のプレゼント

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「はい、撮るよ。あれ? タイマーってどうすんの?」 「ボタン押せば」 「俺が押すから、画面に入るように並べ」 「いや、これじゃ三人入んねーし」  なんだかんだと言いながら、真がスマホに指を滑らせて設定する。 「真と亮は少し前に出ないと、バランス悪くないか?」 「遠近法みたいで面白いんじゃない」 「なるほど」  結局、真の言う通りに亮、真、俺の順に並び、正面を一枚、横を向いてを一枚撮影する。 「何の動物にする?」 「三匹の子豚!」と、亮。 「親豚混じってるけど」と、真。 「細かいこと言うなよ」と、俺。  言ってる間にも、亮が俺たちの頭に耳をのせる。次に、鼻。で、彩に送る。  既読にならない。 「横向きのは馬にしよう」 「顔長すぎて被ってんじゃん」 「じゃあ、たぬき」 「たぬきの横顔って面白くないな」 「文句多いなぁ」 「牛は?」 「山羊」 「虎」 「狐」  次から次へと試した結果。 「なんか、キモくね?」 「もう何でもいいよ」 「はい、送った!」  すぐに既読が付き、スタンプが返って来た。  二頭身の雪だるまみたいなキャラが大笑いしているスタンプ。しかも、動いている。 「あ、ラ〇ンの写真変わった」 「は?」  亮が彩の名前をタップすると、背景にケーキ、小さな丸のプロフィール画像が横を向いたアルパカが三頭。もちろん、顔だけ。
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