2.父の日のプレゼント

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***** 「お母さんは写真飾るの嫌いなの?」 「は?」 「今朝、亮が言ってた」 「なに、急に」  月曜日。  子供たちが学校から帰る前に、家に戻った。  千堂さんは今週いっぱい有休を取って、家事と育児に専念する。  この二日間で、おむつ替えは問題なくできるようになったし、ゲップをさせる時の力加減が微妙だけれど、ひとまず危な気なく抱っこは出来た。沐浴が一番不安らしいけれど、ドボンとお湯に落としたり、大きく身体を揺さぶったりしなければ、多少雑でも大丈夫だと言ってきた。  週末、また様子を見に行く。  昼にお母さんからメッセージが入っていて、私は鍋を持って実家に来た。  赤ん坊の世話に疲れて、ご飯支度どころじゃないだろうと、豚汁とちらし寿司を作ってくれていた。 「さ、いいよ」  私が鍋の入った袋、お母さんが寿司桶の入った袋を持つ。  二つ抱えては帰れないから、お母さんが持ってくれた。 「智くんが言ってたらしいよ」 「なにを?」 「写真のこと」 「ああ。千堂さんがやたら子供の写真を送ってたし、お母さんもめちゃくちゃ飾ってるからかな」  こぼさないように両手で抱えて、ゆっくり歩く。  昨日までの雨空と打って変わって、今日はすっかり晴れた。  明日からは気温が上がるらしい。 「飾らないの?」 「今更子供たちの赤ん坊の頃の写真とかねぇ」 「そう言えば、写真だけでも撮らないの?」 「なんの?」 「結婚の」 「ああ」 「それを飾れば?」 「……うん」
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