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「人様に迷惑をかけてまで親を頼りたくなかったの!?」
「そんなことは言ってない」
「私が病院に行った時にお世話を買って出たら、二人で大丈夫だと言ったわよね? なのに、ご家庭のあるお友達に泊まり込みで来てもらってたなんて! 全然大丈夫じゃないでしょう!!」
「それは今だけで――」
「――隼! 凪子さんに気を遣っているんだろうけれど、そんなこと――」
「――当たり前だろ!? 母さんたちが凪子のことを快く思ってないことは――」
「――誰がそんなことを言ったの!」
声の雰囲気と会話の内容からして、千堂と話しているのは千堂の母親だろう。
俺と彩は顔を見合わせた。
冨田が千堂との結婚を了承した頃、彩が千堂に聞いたことがあった。
千堂の両親の反応について。
千堂は、両親は俺の結婚を喜んでくれている、と話した。
だが、妊娠中の冨田の口から千堂の両親について聞いたことはなく、出産後に病院に来たことは聞いたが、退院後も千堂の親を頼るような話もなく、彩が世話を買って出たのだ。
冨田の親は高齢で遠方に住んでいるため、最初から頼る気はなかったらしい。
千堂もテレビ電話で挨拶しただけの様だった。
「隼。お父さんとお母さんがいつ、凪子さんを快く思っていないなんて言ったの?」
「言わなくてもわかるよ。凪子と会った時の反応で。年上だってことも子供ができたことも伝えてあったのに、あからさまに驚いた顔して。その後もずっと変な態度で――」
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