2.父の日のプレゼント

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「まぁ! まぁまぁ、こちらこそご挨拶が遅くなりました。隼の母です。息子と嫁がお世話になりまして、ありがとうございます」  深々と頭を下げられ、俺と彩もそれに倣う。 「彩。冨田の様子を見て、荷物持ってこい」 「あ、うん」  彩がもう一度千堂母に頭を下げ、家の中に入って行く。 「もしかして、子供たちのお世話をお願いしていたお友達ですか?」 「あ、はい」 「それはっ! 息子がご面倒をおかけいたしました」  今度は恐縮して頭を下げる。 「いえ。妻もと――凪子さんを心配しておりましたし、子供の世話も慣れているので。ですが、お母様がいらっしゃったのでしたら、今日は妻は連れて帰ります」 「わざわざご足労を頂きましたのに、申し訳ございません」  ペコペコと頭を下げる母親の横で、千堂がオロオロしている。  急に嫁と母親の板挟みになり、不安なのだろう。  俺は、自分にその心配がないことにホッとした。 「そんな急いで帰らなくても……。お、お茶でも飲んで――」 「――俺までいたんじゃ冨田が疲れるだろ」 「けど、彩さん――」 「――千堂」  千堂の言葉を遮って、『腹括れ!』と目で訴えると、さすがに察したのか黙った。  千堂母が子ども扱いしてしまうのも納得だ。  すぐに彩が自分の荷物を持って出て来た。冨田も一緒に。
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