2.父の日のプレゼント

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「子供たちは?」 「寝てる」と、冨田が千堂の問いに答える。 「そっか」 「じゃあ、私たちは帰るね」と言って、彩が千堂母にお辞儀をした。 「失礼します」 「わざわざありがとうございました」と、千堂母もお辞儀をする。  俺は彩の荷物を持ち、さっさとエレベーターのボタンを押した。  誰も使用していなかったらしく、すぐに扉が開く。  箱に乗り込み振り返ると、千堂母が恭しく頭を下げていて、冨田は小さく手を振っている。千堂だけが泣きそうな表情(かお)。 「だらしねぇな」  扉が閉まるなり、呟いた。 「自分には無関係だと思って……」と彩。 「無関係だし?」 「智也が千堂さんの立場だったら、どうする?」 「どうするって?」 「私と母親。どっちの肩を持つ?」 「臨機応変に? その時々で考える」 「それでうまくいけば、嫁姑問題はないのよ」  ともあれ、俺には関係ない。  エレベーターを降りると、俺のスマホが唸った。  取り出してみると、彩の母親からの着信。 「もしもし」 『あ、智くん?』  お義母さんのテンションはわりといつも一定で、高めだ。  俺はスマホを肩と耳に挟み、車の鍵を彩に渡した。 「はい」 『もうすぐ帰って来る?』 「あー……、はい」 『車で出てるんでしょ? 何時頃に着く?』  彩が車のドアを開け、俺は彩のバッグを後部座席に放る。 「えっと……」  腕時計に目をやりながら運転席に乗り込む。
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