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次のサイトは、開かなかった。
今の私の精神状態で、『寂しい』は有り得ないから。
画面をスクロールしていき、パッと目を引くタイトルをタップした。
『持て余した性欲は、こうやって解消する!』
わっ――!
ピンクの背景に、大人のおもちゃがずらりと並ぶネットショップ。
なに、これ、めっちゃリアル!
知的好奇心から、男性器まんまとしか思えないおもちゃをタップする。
グロテスクなほどそっくりなソレは、ピストン運動はもちろん、上下左右に動き、速度や強弱は五段階。しかも、電源を入れるとほんのり温かくなるという。付属のクリップをつけると、同時にクリも刺激し、使用した九十八パーセントの女性がイケたとある。
「すご……」
大人のおもちゃと言えばマッサージ器くらいしか知らない私には、衝撃的だった。
更に衝撃だったのは、お値段。
「五万三千円!?」
女性器を傷つけないようにと開発された特殊ゴムでできているから、高額らしい。特許も申請中とか。
初回購入キャンペーンで、三種のコンドーム計三十個付き。
しまいには、『あなたの素敵なセックスライフの為なら、決して高くはない!』とまで文字が躍っている。
いや、高いよ……。
「高いだろ」
耳元の低音にギョッとし、慌ててスマホの画面を消そうとするも、背後からひょいっと奪われた。
「智也!」
「風呂、呼んでも返事ないから亮が入ったぞ」
呼ばれていたことにまったく気づかなかった。
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