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一緒に暮らし始めて、よく思うことがある。
真は彩にそっくりだ。
真面目で、真面目過ぎ。優しくて、優し過ぎ。心配性で、心配し過ぎ。謙虚で、自己評価が低過ぎ。石橋を叩き過ぎて壊すか、叩いても渡らない。
何事も、過ぎる、のはよくない。
その点、亮は正反対。
適当で、ひょうきんで、猪突猛進タイプで、根拠もなく自信満々、失敗してもめげないし、石橋が石橋であることにも気づかずにスキップで渡る。ただ、こだわりが強い。
優しいのは、兄弟共通だ。
「色々悩む時期なんじゃないか? 学校からもプレッシャーかけられてるだろうし」
「うん……」
「お前を俺に取られたみたいに思って、やけくそになって勉強してんのかもしれないし」
「なに、それ」と、彩が顔を上げて横を向く。
俺が腕を回すと、彼女は頭を上げて、俺の肩に載せた。
「『お母さんは俺よりお父さんのことが好きだから、中トロも食べさせてくれないんだ』とか思って、いじけてるかもしれないぞ?」
彩はフフフッと笑って、「まさか」と呟いた。
その、まさか、だと思うけど……。
年齢問わず、男なんて単純で甘ったれだ。
俺が、彩が俺を優先して中トロを取っておいてくれたことを嬉しいと思うように、真は自分を優先してくれなかったことを不満に思っただろう。
中トロは一例でしかないが、つまりはそういうことだ。
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