尻愛

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事のはじまりは獣人の(オス)たちによる 夜の相性(あいしょう)のよい相手を探すときの遊戯(ゆうぎ)だったとか。 それが時代の流れで細かいルールを変えながら現代まで続いたのは 悪い大人(おとな)のあいだで根強く(たしな)まれたからだろう そして当世(とうせ)でも若い獣人たちのあいだで『お見合(みあ)い』ならぬ 『お尻愛(しり合い)』が流行(りゅうこう)していた。 顔合わせの見合いとは違い完全に尻のみの相性(あいしょう)で探す伴侶選(はんりょえら)びである。 ルールは簡単でまず 『(てい)』・・・()れる側 ※参加費が必要 『(へい)』・・・受け入れる側 ※参加費不要だが簡単な健康診断あり えっ?覚えられない?? んじゃ、(てい)の字みろよ?まんま男のアレの形に見えるだろーが! どちらかでエントリーをして主催団体(しゅさいだんたい)日時(にちじ)と場所を知らせてくる。 互いに話すのは厳禁(げんきん)()ぎ声などはしょうがないということで認められている 主催団体は複数ありエントリー回数は決められているし、団体によりランクや客層に違いがあったりもする。 ランクが高ければ(てい)の身元がしっかりしてるし金持ちの富裕層(ふゆうそう)が多い。 男女の間でも変わらないが交際(こうさい)の段取りがあるだろ? 合コンのような複数の男女による顔合わせ→『手合(てあ)わせ』 そのなかの好きなひととデート →『お(ため)し』 結婚もしくは別れ →『縁定(えんてい)』・『投了(とうりょう)』 もちろん顔を合わせられないのだから内容はまったくのべつもの! 淫欲(いんよく)あふれるものに変わる 『手合(てあ)わせ』は (てい)による触診(しょくしん)(へい)(かべ)に尻だけをだし丁が極薄手袋(ごくうすてぶくろ)()けた手で尻の具合や丙の耐久力(たいきゅうりょく)、射精のタイミングなどの反応の調(しら)べ うん。丙は怖いよねぇ見えない場所で恥部(ちぶ)を触られるんだから ……と教えてくれたのは豹族(ひょうぞく)のキュリオである。 人間である海沙(かいさ)が珍しくて緊張(きんちょう)をまぎらわせようとしてくれてるのか もとから話好(はなしず)きなのかキュリオは上半身だけ(かべ)の穴から出ている状態で話しかけてきた。それは(ぼく)をふくめた周りにいる獣人たちも同じである。 (はだか)で壁にハマっている。 丙として集められた獣人たちは躊躇(ちゅうちょ)することなく服を()ぎだし淡々(たんたん)と準備をはじめるのを見て海沙(かいさ)(はじ)をしのんで全裸(ぜんら)になったのだった。 尻がスースーするのがいたたまれないし足が床につかないのも不安をかきたてているのだがエントリー3度目のキュリオは落ちついていて両手で(ほお)づえをつく体勢(たいせい)でリラックスしている。 壁もちょっと特殊(とくしゅ)なつくりで丙の体が傷がつかないよう柔らかい素材で固定されて丙同士は程よい距離があけられていた。 この数の丙がいれば人間がまぎれていても丁が見分けるのは難しいだろう。 獣人には人間にちかい体のタイプと獣性が濃い場合は体が毛などでおおわれているタイプなどがいるのだ。 そして人間にちかいタイプの獣人の尻であれば人間とほぼ同じに見えるのであった。 (てい)が来てないからこんなのんびりと話してられるのだけれど 丁全員がそろうと低音の太鼓(たいこ)によって丙に知らされるんだって どうして海沙(かいさ)が参加することになったかといえば… 友人であるトラの獣人のお節介(せっかい)のせいで、(いわ)く「エントリーしといたから伴侶(はんりょ)探しに行ってこい!」であった 行かなかったらそれはそれで(うるさ)そうだし手合わせで丁に選ばれなければ帰れると言われしぶしぶ参加したのであった。
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