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花言葉に花が添えられるケースがあるのは知ってる。
「花は花言葉に象徴的なイメージを与えるための物ですよ、先輩」
言葉にちょっとしたイメージを添える事で、感覚で捉える事が出来、花言葉がより印象的になるんだとか。そう言う物なのかしら。
「料金がかかる?」
「そうですね、一つ百円ぐらいですけれど。どれも素敵ですので、当店ではおススメさせて頂いております」
一つ百円という事は、全部付けたら七百円。
私は速やかに愛ちゃんの方を向いた。
「どうする?」
「良いと思いますよ。花があると、やっぱり花言葉を読んだ時の気分もちょっと変わります」
「へー、花に詳しいんだ?」
「詳しいって程じゃないですけど。例えば純潔の花はピンク色のコスモスなんですよ」
「そうなんだ。全然知らないわ、私」
「まあ、あんまり気にする人は多くないかも……」
愛ちゃん……お勧めしてくれる店員さんの前でそれは言わない方が良いと思う。たまに余計な一言が多いって怒られているでしょ? そういうとこなのよ。店員さん、苦笑いしてるじゃない。
「で、でもロマンチックですよ。気分も華やぎます」
乙女成分が豊富なのか、それとも頑張ってフォローしたつもりなのか。
まあ、ここは愛ちゃんのフォローもかねて、花も付けて貰っときましょう。
私の中で小暮さんとロマンチックはだいぶ切り離されているけれど。
「じゃあ、花も添えてください」
「ありがとうございます。すぐに準備いたしますね」
お姉さんは店の奥から何やらいろいろ持ってきた。
「ええと、それじゃ選んでもらって良いですか?」
「選ぶ?」
愛ちゃんを見ると、やれやれと言わんばかりにずいっと前に出てくる。
「花言葉には、いくつもの花があるものが多いんですよ」
「……なんで?」
「ええと……」
あ、こいつ知らないな。
代わりにお姉さんの方を向くと、やや苦笑い。
「花言葉で閃いたイメージが色々な国や時代で違ってくるからです。例えば感謝という花言葉には、ダリア、ツリガネソウ、オトメギキョウ等々十種類近くの花があります」
うわ、めんどくさい。
私、花には大して詳しくないのよね。
「んー……愛ちゃん、任せた」
「合点承知です。あ、お姉さん、ちなみに感謝はポンポンダリアが良いなって思うんですけれど」
「もちろんありますよ」
楽しそうなお姉さんと愛ちゃん。多分、花の話で盛り上がれるのが嬉しいんだろう。私にはダリアとポンポンダリアの違いすら分からないわ。
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