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「じゃあ、何で怒ってんだよ。目も合わせないようにして」
「だって……や、やっぱりいい」
珍しく彼女にしては歯切れが悪い。
「何だよ、気になるだろ。言わなきゃわかんないって」
困ったように彼女は両手の指先をいじり出す。
困った時の昔からの彼女の癖だ。
「だって、拓ちゃん、何も言ってくれないから」
「何もって、何を」
「何もは何もよ。嬉しいとも困るとも。私あんな恥ずかしいこと言ったのに、まさかの無反応って……」
呆け顔の俺に、麻里奈は途中で言葉を呑んだ。
何かを察したらしい。
「あ、もしかして、調べてない?」
「調べるって、何を?」
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