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彼女も風呂から上がったばかりなのか、ほのかに香るいい匂い。
それをバレないようにそっと吸い込む。
「本当、迷惑。こんな時間に。で……何?」
わざと眉間にシワを寄せて、不機嫌さをアピール。
テヘッと照れ笑う彼女の可愛さに流されないようにと、無愛想に首にかけていたフェイスタオルで髪の毛を拭いて誤魔化す。
彼女の『お願い』はいつも決まって同じ事だ。
「あの、ね。今日うちのお母さん、夜勤で……。だから、今日私、一人なんだけど……」
「それで?」
ほらまたこれだ。
うんざりする。
「それで……。ほら、今テレビで昔の映画やってるでしょう?」
「ああ、やってんな。『貞……』」

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