7人が本棚に入れています
本棚に追加
『知っているぞ。我………いや、オレとお前は、最強コンビだったか?クク………ククク………』
『黙れって言ってるだろ………!!』
『滑稽!!実に嗤えるな!!最強コンビ!!そんな子供染みたことを、臆面もなく口にしていたのだ!!頭脳明晰なはずの、お前でさえもな!!ハハハハハ!!』
『黙れェッ!!』
渾身のブリューナクランチャーAモードが、袈裟懸けに振るわれる。
その刃は、アルトアイゼンアビスへと初めて届き、周囲に激しい金属音を響かせた。
そして。
『………』
『………』
砕けたのは、ブリューナクランチャーAモード。
戦斧を形成していたエネルギー刃が、光の粒子となって南極の空へ消えてゆく。
『そんな………』
直撃なのは、間違いなかった。
それなのに。
それなのに、かすり傷どころか、こちらがダメージを負ってしまったのだ。
『気は済んだか?』
アルトアイゼンアビスの蹴りが、ヴァイスフェンサーの胴体を真正面から捉え、軽量級の機体を玩具のように吹き飛ばしてゆく。
『 』
蹴り技、などと高度なものではない、いわゆるケンカキック。
だが、そんな雑な一撃にて、コックピットは暗転。
ヴァイスフェンサーは、戦闘不能へと追い込まれてしまった。
『クソッ………クソォッ!!』
『余興にしては、中々楽しめたが………もう飽きたな。死ね。』
アルトアイゼンアビスが、再び鬼菩薩を形成。
来迎会により、ヴァイスフェンサーに止めを刺そうとするが。
『致命的な油断だな。その隙は逃さん。』
死に体の獲物を仕留めんと意識を向けるその瞬間を、セレーネは狙っていたのだ。
最大出力、全力全開にて放つ、グラビトンライフルトライバーストファイア。
恐らく、これが最初で最後の好機にして勝機。
セレーネは、一切の迷いも淀みもなく、引き金を引き絞った。
『やれやれ。もう飽きたと言っているだろうに。出でよ、傀儡。』
アルトアイゼンアビスの両傍らに現れる、傀儡と呼ばれる補助ユニット。
巨大な骸骨を思わせるような無機質かつ、死を容易に連想させる機体の顔面部分へ、ちょうど鬼菩薩の面が収まり、高出力ビーム砲を放つ。
『薙ぎ祓え、黄泉路。』
『ッ………!!』
ぶつかり合う、3重の重力波と黄泉の路へと誘う光線が、2、3秒せめぎ合う。
消滅したのは、グラビトンライフル。
突き抜けた黄泉路は、そのままレイブンMk‐Ⅲを目掛け、一直線に襲いくる。
最初のコメントを投稿しよう!