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そしてついに、高校に入学する日がやってきた。
私は高校の制服をバッチリ着こなし、気合いをいれて入学式にのぞんだ。
「よし、頑張ろっ!」
小さな顔にスラっとした長い足、サラサラのロングヘアーに華奢な腕。
入学式で私の噂をしない者はいなかった。
「ほら〜、あの子あの子。めちゃくちゃ可愛いよね。」
「それ、私も思った。新入生の小日向菜穂でしょ。」
「レベルが違うって言うか…。もう妬みようがない美人だよね。」
「俺、あの子狙っちゃおうかな。彼氏いんのかな?」
「ふふっ。あんたじゃ無理よ。相手にもされないわよきっと。」
「イケメンな彼氏いんだろうな〜。モテモテだろうし…。」
そんな会話があちこちで耳に入ってきた。
「彼氏どころか、今まで付き合ったことすらないんだよな…。第一、私男の人苦手だし。他の人にはそう見えてるんだ。」
そんなことを思いながら、私は静かに席についた。
「よーし。みんなおはよう!これから君たちの担任をする高橋圭悟だ。よろしくな。俺達は今日から仲間だ。良いチームワークでクラスをもりあげていこうな。」
高橋先生の野太い声が教室中に響いた。
「じゃあ、さっそく出席とるぞー。」
先生が口を開けたその時だった。
ガラッーー
そこには見たこともないくらいのイケメンが立っていた。
さらによく見ると、腕には高そうな時計、耳にはキラキラ光るピアス…。
持ち物全てがブランド物のようだった。
「あっあの人、九条奏多(クジョウカナタ)じゃない?」
「えっ嘘。あの九条薬品の御曹司の?」
教室がザワザワした。
「おっ!九条だな。遅刻だぞ。早く席に着け。」
先生の言葉を聞くことなく九条奏多は静かに席についた。
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