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私は今にもこぼれ落ちそうな涙をこらえて、ハルちゃんの方を見た。
するとハルちゃんは目も合わせずに言った。
「俺は菜穂とは、付き合ってない。ていうか、この俺がこのブスと付き合うわけねーだろ。幼馴染だからしょーがなく一緒にいるだけだ。正直言って、告られるのもこうやって噂されるのも迷惑だ。だから菜穂、俺にはもう近づかないでくれ。悪いな。ハハッ」
前が霞んでよく見えない。彼の姿がだんだん遠ざかって行く。
「行かないで…。行かないでよ…ハルちゃん。」
私は喉から必死に声を絞り出した。
その日から私の世界はもう何も見えなくなった。
永遠に続くこの深い暗闇の中で、私はどれだけもがき苦しまなければならないのだろう。神はなぜ私に絶望と苦難しか与えてくださらないのだろう。
私は一筋の光という名の幻想さえも、感じることができなくなってしまった。
ポタッーー
怖いくらい静かな深い深い暗闇の中で、涙の粒がこぼれる音だけが響いた。
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