第十三章 告白と婚約と

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 瑠衣を胸の中に抱きしめ、寿士はしばらく黙っていた。  彼の髪を静かに撫でながら、呼吸を鎮めていた。 「瑠衣、聞いてたろ」 「うん」 「瑠衣は、俺の最高のパートナーなんだ。もう、愛人じゃ収まりきれなくなってるんだ」 「でも」 「父さんは、必ず説得するから」 「……」  だから。 「俺と、結婚して欲しい。愛してる、瑠衣」 「寿士さん……」  でも、僕は。 「でも僕は、家を追い出された身で。何のとりえもない、Ωで」 「結婚して、楠家に入ればいい。取柄なんて、今から身につければ問題ないさ」 「……」  寿さん、と瑠衣は言いたかった。  だが、涙が次々と湧いて出て、喉が詰まって何も喋れない。 「う、うぅ。んっく、ふぅ。うぅう……」 「それ、嬉し涙だよね? 瑠衣」  瑠衣は、せわしく頷いた。  ただ泣きながら、首を縦に振るしかなかった。 「瑠衣はもう、愛人じゃない。俺の、婚約者だ」  寿士は、はっきりそう言った。 (ああ、やっと言えた)  愛してる、瑠衣。
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