第十四章 この身体も、その心も。

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「大丈夫ですか!?」 「いや、なに。これくらい」  精一杯強がっている老人だが、顔色が悪い。  ちょっとすみません、と瑠衣はシューズと靴下を脱がせて老人の足を見た。 「こんなに腫れてる。骨を折ったかも」 「そんな馬鹿な。普段から、鍛えてるよ。私は」 「でも、痛いでしょう? 歩けないでしょ?」 「まぁ、それはそうだが」  瑠衣は老人に肩を貸し、車道までゆっくり連れて行った。  そこでタクシーを拾い、共に乗り込んだ。 「かかりつけの病院はありますか?」 「ん。あぁ、総合病院に」 「運転手さん、総合病院に行ってください」  タクシーが走り出した時、時計は5時を指していた。
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