第十四章 この身体も、その心も。

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『瑠衣? どうしたの、何かあったの?』 「ごめんなさい、もうすぐ着くから。詳しい話は、それから」 『解った。待ってるよ』 「ごめんなさい、寿士さん」 『いいんだ。瑠衣が無事なら』  通話を切って、瑠衣はスマホを胸に抱いた。 「寿士さん、このごろ優しい」  以前なら、『遅い。何やってんの』と来るところだ。 「寿さん、ったら。『いいんだ。瑠衣が無事なら』とか!」  もう、座席シートにごろんごろんして悶えるところだが、そこはぐっと我慢した。 「はい、着きましたよ」 「あ、ありがとうございました」  運転手の言葉に我に返った瑠衣は、料金を払って待ち合わせの場所へ急いだ。
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