その7

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その7

その7 麻衣 そろそろアキラが来るだろう さて、今日はいよいよ決行だ、フフフ ... 1年数か月前、まさか私、ここまでイカレるとは思わなかった 相馬さんに出会ったからってのは言うまでもないが、この展開は自分でも、ちょっと…、ってとこだ 相馬会長と去年、二人で食事したことがある あれ、絶対忘れないよ、私、死んでも忘れられない 二人で交わした会話、完全に覚えてる 言葉一言、一言だけじゃなくて、間や、話してる時の表情…、全部 とにかく全部、私の中に入っちゃったのよ カルチャーショックの粋超えてたな、あれは それ以降、変わってく自分を自覚した オカルトじゃないが、相馬さんが憑依したくらい、手ごたえあった 剣崎さんは、敏感に感じとってくれたようだけど うん、私、血が入れ替わったみたいだった ... そして、ついこの前、病床の相馬さんと最後の会話を交わした もう死期近いってことで、病院に見舞いに行った でも、悲壮感なんてサラサラないし、相馬さん、病室で腕立てやってたし 粋でカッコよくて、渋くて、力強くて、オーラはギンギンだし、何なんだ、この老人って… この時の会話は15分くらいだったかな… 不思議なんだが、その時はほとんど私の学校の話しだった それが笑っちゃうんだわ… 試験の結果どうだったとか、友達関係どうだとか… やめてくれよ、狂気で全国に轟いてきた傑物親分がさって… でも、あとでちょっと、しんみりとね… 狂気の人でも最後は、”あえて”、”父親”で接してくれたのねって… 私、この人の息子、”間接的”にだけど死に追いやってるんだよ ”すべて”を知ってる剣崎さんとか、よくついてこれるなって… ... で、その時の相馬さんの言葉、私は私の”解釈”で遺言とした その結果、今日を迎えた… 今、8月31日、夏休み最後の日のもうすぐ午前10時… アキラが来たら少し遊んで、その後いよいよだ… あの4バカ相手に、サル芝居演じてこなくちゃ 剣崎さん、私、飛びますよ。もうすぐですよ… そっちは準備万端ですか?抜かりないですか?
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