その10

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その10

その10 麻衣 あの4バカ、約束の時間よりだいぶ前に来てたらしい 昼の12時5分前、道路挟んだファミレスの反対側にいる 原チャリは3台か…、きっと私に声かけた高1は後ろ乗ってきたんだろう フン、はしゃいでるわ、ノー天気に ... アイツらの大体は把握済だった みんな埼玉の高校を中退してる、半端野郎の4人組 頭の中もスカスカで、今回の”役回り”には格好だった そいで、眼をつけてて、3か月網かけて フフ、絶妙のタイミングで引っかかってきた 体でかいヤツが一応、リーダーの立場ってとこだろう 柔道やってたらしいが、まあウドの大木にしか見えない それにチビと長髪のヤセ、声かけてきた高1 こうも冴えない連中が見事に揃った(笑) さて、概ね展開は想定できてるし、行くか… ... 私がバイクを止めると、高1がヤアと手を上げて声をかけてきた 「どうも。時間ぴったりですね。いっこ上の先輩です。麻衣さんと同級ですね、ハハ…」 早速、ウドの何とやらが「初めまして、よろしくね」だって 他の2人もにニヤけた顔で鼻の下さげて、「どうも」とか言ってる こっちこそ、ヨロシクだ!テキパキとやろう! さあ、まずは宿題だ 「早速見せて。頼んだ宿題」 「ああ…、じゃあ、みんな持ってってた分、出そうぜ」 元柔道部、仕切ってるわ さあ、早く出してちょうだい、私の”宿題の山” 私は4人から問題集や本を受取り、その場で”中身”を確認した 約3分程度、私は黙ってひと通り目を通した 4人は、その様子をヒソヒソと小声で話しながらじっと眺めてる うん…、予想以上の”出来”だわ、ものの見事じゃないの! 3分の1くらいはやってくるかと思ったけど… どれも最初の2,3ページしか埋まってないや 読書感想文は汚い字で、明らかに本、読んでねーだろうが! こりゃ、いいや、遠慮無用でやれるし、ハハハ… ... 「なによ、これ?ほとんどやってないじゃないの!」 「ああ、はは…、何しろ時間足りなくて…。まあ、今日はとりあえずさ、まずランチでもご馳走するからさ。そのあと、”リッチ”ってことで、宿題の件はその後でまたさ…、ハハハ…。なあ、みんな、なあ…」 ウドの大木、しゃーしゃーと、よくしゃべるわ 「ナメた真似してくれたわね、ふざけんじゃねえよ!4バカが!」 こう言うが早いか、私は宿題の山をヤツらに投げつけた で、間髪入れず、奴らの原チャリ、3台を思いっきり蹴り倒してやった 不意を突かれ、本が飛んできた4人は思わず後ろずさりしたが、すぐに”事”を理解したようだ 「てめえ、何しやがんだ、このー!」 ”想定”通り、ウドの大木が私に向かってきたぞ が、その前にしっかり、倒れた1台のミラーを足で踏んずけて破壊だ ウド野郎、すごい形相で迫ってきて、私の服を掴もうとしてる 柔道野郎だ、ここで掴まれたらヤバいわ! 私は一度、歩道の植栽の後ろに身をかわした 忍術、何とやらってとこだ そのわずかな隙に、”常備兵器”ヘアスプレーを手早くズボンのポケットから取り出す そして、植栽の影からフェイント気味に、目の前のでかい顔面めがけ、シューッとひと吹きだ 「ギャーッ、ワー」 なんとも大げさな叫び声あげて、ウド野郎はでかい顔面に両手を当ててる まるで二本足のイノシシだわ、こいつ その後、転がってたヘルメットを道路に向かって蹴り飛ばした それを見た長髪のヤセが、交通量のある道路に向かっていった チビと高1は、この騒ぎで足を止めてる通行人をキョロキョロして見渡しながら、立ちすくんでるわ これで1対4の構図は棚上げ完了、あとはサシに持ち込める… 私はまだ顔を押さえている、ウド野郎の下腹部に膝蹴りをかました さすがにうずくまって、「このヤロー、ぶっ殺してやる」とかって喚いてるわ 「うるせー、このヘタレ!リッチなんて100年早えーよ!」 更に、右足で弁慶の泣き所めがけ、キックのおまけだ さあ、起き上がって向かって来い、このイノシシ! よし、その間にファミレスの店内へ駆け込むぞ… とにかく、他の3人は私のキレ具合が半端ないんで、腰引けてるようだ それ、計算ずくだから助かるわ そのリアクション、こっちはさ…
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