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その12
その12
剣崎
麻衣のヤツ…、派手にやってくれたもんだ
勝田の話じゃ、店の外まで人だかりができてたらしい
今さらながら16の小娘が、大した度胸だ
たった一人で、あの時間、あの場を完全に乗っ取りやがった
勝田も釘付けだったみたいだな…
所詮茶番だが、見惚れるほどの大芝居だったと…
思わず仕事、忘れそうだったとぬかしてたわ(笑)
あの世の会長も、満足したことだろう
自分の血の分身が、大立ち回りしてる姿を見て
...
さて、いよいよ、一挙に動いてきた…
麻衣は今頃、警察で取り調べだろうが、体調不良を訴えて病院となる
そこで薬物反応が出て、香月明とマッドハウスへ繋げる供述をする
建田組の間宮は既に出頭しているから、ここでも香月の名は挙がってる
ただし、間宮がしゃべるのはブツの”流し先”だけということになっているが
香月が警察に呼ばれるのは、早ければ数日後か…
ケイコの方は、麻衣の聴取を香月からも裏付け取って、それからだろう
となれば、数週間あととなるかな…
まあ、もう展開は見えているし、ケイコには早めに伝えるとするか…
まずは香月明だが、これからオレが直接話してくる
この段階では誰かという訳にいかない
やはり直に目を見て、”確認”する必要がある、しっかりと…
...
他の矢2本については、今のところ”まっすぐ”飛んでいる
別件で拘留中の”2代目”は、一昨日に脱税容疑で”無事”、再逮捕となった
建田興行のガサ入れも秒読みで、相和会内では”掠め”ということで既成事実化ができてる
昨日は緊急幹部会で、臨時代行に明石田さんが選任された
掠めに加え、北原の関西への”売り”も糾弾して、処分は今日にも決定する
一気に2代目体制は瓦解だ、ものの見事に
仕掛けた側が言うのも変だが、あっけないものだ
文字通り”矢継ぎ早”だったから、抵抗勢力はまだまとまっていない
まあ、多少の犠牲や強硬策は織り込んでいるが、現時点では予想より波は低い
まずは、シナリオ通りだ、とりあえずは…
...
この後、矢島さんの体制へ移行に入る訳だが…
そこで”障害”の排除…、これが当然浮上してくるはずだ
矢島さんとしては、懸念材料は確実に切っておきたいところだろうから…
そうなると、はねっ返りも含めて、少なくとも数人の処分は覚悟だな
オレの方としては2人だ…、悩みどころなのは
はっきり言って、他はどうでもいい
矢島さんの腹ははっきり読めないが、"例の疑念"は払拭しきれていない
まあ、簡単には見過ごさないだろう、今までの経緯からすれば…
あの人は、そういった面では妥協はないし徹底してる
とにかく、この事案は俺が全責任という事になるさ
しかも難しい決断になる…、いずれの場合も
ここまで来ても、俺の今後は二人の対応ひとつでひっくり返る訳だ
最悪、破滅もあり得る…
ハハハ…、仮にそうなれば完全にパロディだな
この俺がここまでやり遂げて、気が付けば誰かさんの手のひらに乗ってる
オセロゲームはまだ終わってねえってことか…
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