その２

その２麻衣そろそろ晩夏って感じかなまあ、とんでもない長い夏になったわねそれこそこの夏、終わり来ないんじゃないかってレベルで… これ、私だけじゃなしにねいろんな人にとってもね（笑）ほんで、いよいよって感じだけどこっち的にはさ ... 今、私の部屋には倉橋さんがいるここにきて、この人、大事な存在になった私のやろうとしてること、以心伝心かもねわかってくれる人、わかるんだ、私、基本的に変だけどそれに輪をかけて、”変なもん”やってるしでも、倉橋さん、ヤバいよ、私にこれ以上は意味いっぱいあるんだよ、時間が経つにつれ… ... 倉橋さんとは、剣崎さんの店で初めて会った運転手とボディーガード兼で、私専属ってことで無論、”監視”も役目だろうってことは、最初から承知だったその日、店のカウンター座ってた倉橋さんの首に視線がいったやけどのような跡があったんだ… １０センチ近くはあったかな？倉橋さんが帰った後、剣崎さんにその”傷”のことを聞いたんだ剣崎さん、ふふって感じで少し笑ってから答えてくれた「あれは、倉橋の勲章だよ」って関西傘下と揉めた時、大阪万博の年だっていうからかなり前だ向こう側に捕まって、リンチだってで、首に焼き鏝やられたらしい ... 約５時間あまりの拷問、倉橋さんは屈しなかったんだってやがて、リンチしてる一人が逃げ出したそうだ倉橋さん、意識朦朧で、目がイッちゃってて… 無意識に他の連中、睨んだら、みんなそこから退散だって向こうは親分が狂った相馬豹一だからって、怖くなったようだリンチしてる側が恐怖を感じたと…、まあ推測らしいけど人間っていうのは、そうなると逆転現象になるみたいだとにかく、剣崎さんとかが駆け付けた時、敵、誰もいなかったんだって… なんか、笑っちゃ悪いけど、そんなもんだよね私だって、ついこないだ、それに近い心理状況だったよそれ、かいくぐってきたから… 相馬さんと命がけの睨めっこしてさ ... ション便臭い小娘だけど、わかるんだ… なんとなくだけど、かろうじてだけどだから、倉橋さんのあの首、愛おしいんだな ... でもさあ… 倉橋さん、”見張り役”どうしたの？（苦笑）そんなことじゃ、次はあなたが見張られるよいや、もう見張り、来てるわな、ハハハ… それで、こんなとこ、剣崎さんに報告だよ写真とかもさー、撮られてるかもよ… ヤバいんじゃないの？修羅場さんざんの人ってのに、こんなもんなの？ガード、スカスカじゃん何年やってんの、この仕事って… そんなとこなんだけど…、いや、ひょっとして… フン、関係ねーよって、そういうノリかなそれも好きだよ、ヒリヒリってやつ…、私この無防備も、まあちょっといいかなってさ ... でも、ゴメン、倉橋さん今の状況で頭の中の人、相馬さんだから… ホント、ごめんね、命がけでやってくれてんのにねそれと、もうひとつ、ゴメン… なにかと考えるとこあって、いろいろアリでやらしてもらうんでまあ、倉橋さん、私のこと、剣崎さんと同じくらいわかってるもんね？だから…、その時きたら遠慮は無用これ、本気で言ってるあなたも、本気で考えといて、今から迷いは禁物だよ…、私が言うのもおこがましいけどねで、すべて終わった後、あなたどうすんのかなってどういう立場なのって、それにその先もねあれ？私、心配してるよ、倉橋さん、あなたのこと迷い、私の方にもあったのかよ… 所詮、ヘタレみたいだ、私もああ…、とりあえず、首、もっと見せて… もっと間近で見せて、あなたの勲章

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