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「去年も22才って言ってなかったけ?」
「あれ?そうだったかしら?」
「たしか、おととしも22才じゃなかったっけ?」
ママはワインをちょっと飲んで、パパにウインクをした。
パパが答える。
「ママは年をとらないんだよ」
「そうなの?」
パパとママは同時に答えた。
「そうさ!」
「そうよ!」
ママはにっこり笑って、ふっとろうそくを吹き消した。暗い部屋に、ひとすじ白い煙が昇っていった。
その夜、ぼくは眠れなかった。
ママは年をとらない・・・。
たしかにママは若くてきれいだ。友だちのママとは全然ちがう。友だちのママは、みんなちょっと太ってるし、目のフチにシワがあるし、口の横にもシワがある。ほっぺたにはそばかすがある。でも、ママのウエストはキュッと細いし、顔は赤ちゃんみたいにツルツルだ。
ぼくは・・・えっと今10才だろ?ママが22才だから、ぼくは・・・22ひく10・・・ママが12才で生まれたことになる。12才って?あと2年でぼくも12才だ。子どもが子どもを産んだの?ありえない。
考えられることは・・・ぼくはママの子どもではないし、年をとらないママは人間ではないってこと。
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