23人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「それってなんでできてるの?」
ママはようやく鏡から目をそらし、瓶に書いてある成分表を見る。
「えっと、原材料イモルテル・・・これ、フランス製なのよ、高いんだから。フランス語でイモルテル、英語だとストローフラワーね」
「お花?」
「そうよ、お花のエキスをオイルに溶かしてあるの。『ムギワラギクの強力な抗酸化作用によるアンチジング効果』ですって。イモルテルってフランス語で『不死』って意味なのよ」
「フシって?」
「死なないってこと!ムギワラギクの花言葉はね、『不滅』なの」
年とらないだけじゃない、ママは死なないんだ!
「じゃあ、そのオイルをパパにもつけてあげてよ」
ママはウフフって笑って言った。
「男の人にはあげない、もったいないもの」
なんてこった!
パパは・・・男の人は・・・死んでもいいの?ぼくも男だよね?
ママのきれいな顔が、ちょっと怖くなった。
「ぼくには?」
恐る恐る聞いてみた。ぼくは死んでもいいのかな?
「いらっしゃい、塗ってあげる」
ママはぼくの鼻のあたまに、ちょんとオイルを塗ってくれた。ママのいい匂いがした。
最初のコメントを投稿しよう!