イモルテル

４

　ここまでがぼくの一つめの秘密。でも、秘密ならまだあるんだ。

　秘密その2・・・。

　パパは小児科のお医者さんなんだけど、しばらくどっかの大学に行って留守なんだ。パパは車に乗ってったから、ガレージは空っぽ。パパが帰るまで、ここはぼくの秘密基地だ。

　ぼくは生まれつき心臓に穴がある。
　心臓には4つの部屋があって、そのうちの大きなふたつの部屋の間の壁（中隔というんだ）に、小さな小さな穴がある。生まれてすぐ、パパが聴診器でザザッという音を聞き取って、すぐに見つけてくれた。大きい穴だと手術しないと死んじゃうんだけど、ぼくのは小さいからそのままでいいらしい。でも、激しい運動はできない。
　それってかわいそう、って思う人もいるけど、そんなことはない。体育で走ったりしなくてもいいしね。みんながキツそうに走ってる間、ぼくは図書室で好きな本を読めるんだ。
　そうさ、運動できなくても楽しいことはたくさんある。パパのガレージは、ぼくのラジコンカーのサーキットで、模型飛行機のテスト飛行にも最適だ。理科の実験だって何だってできる。少々散らかっててもママに怒られることもない。

　あ、ぼくの2つめの秘密の話だよね？
　心臓の穴は秘密でもなんでもない。秘密は別のこと。