【Summer Season】 初夏の再会 8

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【Summer Season】 初夏の再会 8

「それにしても、いい休日だったな」 「よかったらさ、たまにこうやって五人で出かけないか」  來川さんに提案すると、瑞樹としずくくんも、コクコクと嬉しそうに頷いていた。もちろん芽生も大喜びだ。 「わぁぁ…パパ、それいいね。おにいちゃんもうれしい? 」 「うん! さぁこっちにおいで」 「おにいちゃんっ」  芽生が瑞樹に抱っこをせがんでいた。芽生は甘えたかったり嬉しい時はいつだって瑞樹にくっつく。よほど安心できる場所なのだろうな。 「えっ、それ…俺もとても嬉しいです」 「しずくくん、僕もですよ!」 「芽生もー!まいごくん……じゃなくて、しずくくんともっとあそびたいよ」 「くすっしずくくんは、すっかり芽生くんの友達になったね。どうぞよろしくお願いします」  瑞樹が芽生の父兄らしく、挨拶をする。こういう律儀な所も好きだ。 「あっ、あの俺、小さい子に慣れていないから、上手く遊べるか分かりませんが…」  しずくくんがおろおろし出すと、芽生がにっこり笑った。 「しずくくん、これはおべんきょうじゃないから、むずかしくないよ〜そうだ、コレあげる。これでボクたち、なかよしの友だちだよ」  芽生はいつの間に、四つ葉のクローバーを手に持っていた。 「さっき見つけたんだ。よつばは『しあわせ』を呼ぶんだって。前におにいちゃんにもあげたら、おにいちゃんとパパはね、すごーくしあわせになったんだよ。だから今度はしずくくんにあげるよ」 「しずく…良かったな」 「あっ、ありがとう。これからよろしくお願いします!」  しずくくんが緊張した面持ちで、頭をペコっと下げた。 88fa6c46-cb56-4d9f-a215-a2ec1d85f54e (イラスト・おもちさん)  初夏の風に乗って、爽やかな交流がまた一つ生まれた。  お互いの居場所を持つ者同士が、こうやってたまに集い合おう!  しあわせが、確かに繋がった瞬間だ!     【Summer Season】 初夏の再会 了  
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