【Autumn Season】 秋まつりデート 3

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【Autumn Season】 秋まつりデート 3

「宗吾さん、驚きました! 」 「ん? そうか」 「だって突然、浴衣を着ておまつりに行くなんて」 「君は夏まつりで不完全燃焼だったろう」 「あ、だから……なんですか。嬉しいです! 」  夏まつりの最中に瑞樹は熱を出してしまい、最後まで楽しめずに悔いていた。だからこそ機会があれば、もう一度連れて来てやりたかった。  そもそも、彼の熱は芽生の看病疲れが引き金だったから、どうしてもリベンジしたかったのさ。 「喜んでもらえて嬉しいよ」  瑞樹の柔らかな髪をクシャッとすると、彼は芽生を抱っこしながら擽ったそうに笑ってくれた。  本当に嬉しそうな顔をしてくれる……君の素直で優しい表情が好きだ。 「メイくん聞いた? 楽しみだね! 今からおまつりに行くんだよ」 「パパーありがとう! こんどは、おにいちゃんと『リンゴアメ』なめたいな~ 」  おっそれな! ナイスな提案だ。あれは絶対に色っぽいだろう! 「絶対に買ってやる! 」 「あれぇ……パパ、またなにかコウフンしてる? リンゴアメってそんなにワクワクするものなの? 」 「まぁな。男のロマンさ! 」 「えっとぉ……? 」  大きく頷くと芽生は不思議そうな顔をし、瑞樹はギョッとした。 「そ、宗吾さん? また一体何を想像しているんですか」 「それをわざわざ君が聞く? 俺が想像していることなど、お見通しだろう」  丸い球体を瑞樹が舌先でペロペロと舐めれば、舌も唇も赤く染まり色っぽいだろうと言おうとしたら、瑞樹の頬がリンゴ飴のように赤く染まっていた。 「おいおい、君も同じことを想像したのか」 「ち、違います! 」
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