【Summer Season】 初夏の再会 2

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【Summer Season】 初夏の再会 2

「しずく……私も今日はオフだ。どこか行きたい所はあるか?」 「…行きたいところ…?」  宗一郎さんに寝起きに問いかけられたが、すぐには浮かばなかった。でも、宗一郎さんが寝室のカーテンを全開にした時、眩い朝日が飛び込んできて…閃いた。 「あの…公園に行きたいです」 「あぁスケッチがしたいのか」 「あっはい…やっと晴れたので」 「いいよ。そうだ、丁度しずくが気に入りそうな公園を見つけたんだ」 「嬉しいですっ…」 「……車になるが、大丈夫か?」 「う…頑張りますっ」 「慣らすのも兼ねて…私と行ってみよう」 「はいっ!宗一郎さんと一緒なら…」  車は30分程走って、見知らぬ公園の駐車場で停まった。  乗車を頑張ったのと初めての公園に緊張し……目が回りそうになり、宗一郎さんの袖を掴んでしまった。 「しずく、平気か」 「…はい、あっ──ここ、綺麗ですね」 「あぁ、この噴水を君に見せたかった」 「嬉しい」  正面の大きな噴水に目を奪われてしまった。  樹の幹の形をしている数本のポールから、水が飛沫をあげて噴き出していた。初夏の太陽の光を受けとった雫が、キラキラと辺りに飛び散っていた。 「あっ……虹が見えますね」 「あぁ綺麗だな」  夏の日差しを吸い込んだような雫を、描いてみたいと思った。 「とても綺麗です」 「疲れてないか? 車にも、だいぶ慣れたようだね」 「はいっ。あの、ここでスケッチをしても?」 「いいよ。思う存分に描くといい」 「はいっ」  嬉しい…宗一郎さんが傍にいてくれるのなら、自由にのびのびと絵を描ける。  だって俺をちゃんとここに連れ戻してくれるから。 **** 「時間になったら声をかけよう」 「…お願いします」  公園に着き、二人でベンチに座った。  一時間が経過したが、私の隣でスケッチを続けるしずくの手は止まらない。  やれやれ、こうなるのは分かっていたが……と苦笑してしまう。  さらに一時間経った。  夢中になると、しずくは自分だけの世界に入ってしまう。  私たちの座っている木陰のベンチにも日差しが入り込み、気温が上昇して来た。    彼が膝に乗せた白いスケッチブックには無数の雫が描かれており、その一つ一つが違った色合いの世界を映していて、繊細でありダイナミックでもあった。  いい絵を描く。  それにしても私と一緒に選んだ桜色の肌触りが滑らかなコットンシャツが良く似合っている。彼の白い肌を綺麗に映しているな。  しずくは、額に汗を浮かべながらも一心不乱に描き続けている。  しかしこの暑さだ。そろそろ水分を取らさないと。 「しずく……何か冷たいものを買ってくるが、何がいい?」  返事はなかった。  今、一番集中しているのだろう。  視界の端に自動販売機が見えたので、私はそっとその場を離れた。
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