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失敗続きの航海と途切れることのない争いのせいで、島民の士気も島の資源も疲弊していました。あれほど豊かに木々が生い茂っていた森も、今やその本数は数えられるほどになり、野生動物は姿を消し始めました。常に井戸を満たしていた湧き水も、木桶を下ろして掬わなければなりませんでした。
島の人々は残されたわずかな畑と、海で捕れる魚や貝を奪い合い、ついには他人の育てた作物や家畜の盗難があちこちで起こりました。
中には、このままではいけない―と島の人々に協力を呼びかける者もいました。
「食料はみんなで分け合って、必要以上にため込むのはやめよう」
「海や森の資源には限りがあり、共存できなければ我々も死ぬほかにない」
「このまま人口が増え続ければ、住む場所も食料も足りなくなる」
「常に隣人を思いやる気持ちを忘れずにいよう」
しかし、そのような声明は怒り・不満・恐怖といった感情の前では簡単にかき消されてしまい、聞く耳を持たない人々の身勝手な行動に流され、善良な島民でさえも、自身の身を守るため悪いこととわかりながらも、己の欲と身の安全を満たすためなら平気でそれらの約束事を破っていくのでした。
―どれだけ食料を持っていても、明日には魚が捕れないかもしれない。水が枯れるかもしれない。
―私の育てた畑や家畜を誰かが盗もうとしているかもしれない。
―取れる時に取っておかなければ、自分の分がなくなってしまうかもしれない。
―自分が働けなくなったら、誰が面倒を看てくれ、家を守ってくれるだろうか。働き手がいなければ、その日を暮らしていくのも精いっぱいだ。やはり子供は多くいるのに越したことはない。
島民の間に渦巻く不安は、もはやだれにも止めることはできず、緑豊かな島は、砂と骨ばかりの枯れた土地になり果てました。
島民の人口は半分以下になり、常に空腹と喉の渇きに苦しめられていました。渇いた畑に残された干からびた作物と、死に絶えた灰色の海にごくまれに紛れ込んでくる骨ばった魚を捕って、なんとかその形を繋いでいるのでした。
島中で頻繁に争いが起き、住居のない者が路頭に溢れ、至る所でカモメが死肉を漁っていました。いつもどこかで罵声と悲鳴が飛び交って、鳴り止むことはありませんでした。この島には、もはや衰退の道しか残されていないようでした。
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