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一晩が経ち。
嵐が過ぎ去った島には何も残されていませんでした。さんさんと降り注ぐ太陽の光が、穏やかに揺れる海に反射して輝いていました。昨日の出来事が嘘のように静かで平穏な島は、飛ぶことに疲れたカモメたちにとって絶好の休憩場所になっていました。
丘の上に建っていた二人の男女の墓は、奪い合いの末、基礎が緩み根元から飛ばされていました。
こうして二人は、夢にまで見た平和な国の結末を、冷たい海の底で嘆き悲しむのでした。
それから。
長い長い月日が流れ、島は再び豊かな森に恵まれ、動植物が戻り、辺りには色とりどりの魚たちが泳ぎ回るようになりました。
そんなある日、一艘の船がこの島に辿り着きました。船員たちは、この島の美しい自然と穏やかな気候を気に入り、ここに自分たちだけで暮らしていくことに決めました。
「この島に俺たちだけの平和な国を作ろう」
船員の上陸記念の宴のようすを、海の底に眠る墓石たちが、静かに見守っていました。
おわり
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