救いの手

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 「日和みたいに強くないから」  それが親友の最後の言葉だった。  彼女とは幼馴染みで、幼稚園の頃からいつも一緒だった。  中学に入ってからも同じ吹奏楽部に入って、楽器は違ったけれど一緒に全国大会目指して頑張っていた。  彼女といる時は楽しかった。  だけど、中学3年の3学期。  高校受験を控えていた私達だったのだが、彼女はずっと浮かない顔をしていた。  模試の結果が良くなかったのだろうか。  それとも、一緒に行こうと言っていた高校に行けなくなってしまったのだろうか。  当時の私はそう思っていた。  だけど違った。  私の知らない所で彼女は『いじめ』を受けていた。  1年の頃は同じクラスだったのだが、2年に上がってから全く別のクラスに分かれてしまい、部活の朝練と放課後、下校を一緒にするくらいだった。  大会を終えて部活を引退してからは登下校くらいしか顔を会わさない。  クラスが隣ではなく大分と離れていたので学校内で一緒になることはほとんどなかったのだ。  おまけに互いに携帯電話を持っていなかったので家に電話を入れるか直接会うしか話す方法がなかった。
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