救いの手

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 そんな私の知らない所で彼女は『いじめ』に遭っていた。  彼女は会っても自分から悩んでいることを話さないタイプの性格でこちらから聞いても「何もない」としか答えてくれなかったのだ。  心配になった私はなんとかして聞き出そうといろいろ質問をしてみた。  ほとんど首を横に振るばかりだったのだが、「誰かに何かされたのか」と聞くと彼女ら言葉が詰まって「大丈夫、何もない」と言ったのだった。  私は心配になり、休み時間になると親友のクラスを訪ねるようになった。  彼女はいつも一人だった。  だけど、クラスの中には彼女だけでなく、一人で過ごしている生徒は何人かいた。  でも、この時はまだ気づけなかったのだが、彼女に対してだけ周りの態度が違ったらしい。  「何かされたらちゃんと言うんだよ?私に言えなかったら、先生でもいいから!」  そう言って彼女を励ましていた。  だけど親友は「ありがとう、でもごめん」と言うと苦笑いをして、 「わたし、日和みたいに強くないから」と。  その言葉を最期に私達は帰路についた。  その翌日、親友は飛び降りた。
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