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02
レコード会社へと辿り着き
次の歌の為に録音を兼ねた練習をする
正直、起きてから6時間はまともに声が出ないほど本調子にはなれないから
6時間はずっと発声練習ばかりだ
歌うのは好きだが、ネット配信してた時より本格的になれば周りに言われるがままに歌うことになるから時々投げ出したくなる
そんな時に思い出すのは小さい頃から歌ってた時に嬉しそうに褒めてくれた母の存在だ
それに、今回歌う曲は俺が好きなキャラであるブラッドが出る映画の主題歌
突然と主題歌を歌って欲しい依頼が来た為に、ストーリーを見て聞いた後に作曲から全て俺自身が考えていた
その事が嬉しくなり投げ出す気にはなれない
『 当たり前の日常は突然と終わりを告げた。幾年の年を重て心の傷は消せれないが、それでも時は流れ続ける。それなら全て受け止めて未来を目指してはどうだろうか__…… 』
原作とは関係無い映画限定のオリジナルストーリー
強い敵が現れ、彼等の住む街を一瞬で破壊してから再生を目指し敵を倒す物語
元々特殊能力を持つキャラクター達だからこそ、街を救うために傷だらけになりながら立ち上がる
なんとも少年心を擽るヒーローなんだと思いながら、感情を込めて歌っていく
「 今の凄くいい感じじゃないか!これでいこう! 」
『 ありがとうございます 』
6時間、多少休憩を挟みながら歌っていたとしても体力を結構消耗すると思う
肺活量を鍛えないとな、なんて思いながら主題歌の録音が終わった事に安堵して次の場所へと向かおうと準備をする
「 碧兎くん、ちょっといいかな? 」
『 ん? 』
今回は使わなかったギターケースを持ち上げていれば、マネージャーである髙城狼牙(たかしろ こうが)は話し掛けてきた
年齢は30代位であり、俺がネット配信してた時から知っているらしく
路上ライブしてた時にマネージャーになってくれると言ってくれた人
今ではこの人が上手くスケジュール管理やら、色んな会社に歌やら宣伝してくれたお陰で、有名なアニメの映画の主題歌なんて大きな仕事を貰えたんだと思う
真面目で少し近寄り難い雰囲気だと言われるが俺にとっては親しみやすい人だ
そんな彼に呼び止められた事に首を傾げれば、髙城さんは直球に答えた
「 今夜、使う予定の曲をラジオで使わせて欲しいと依頼が来たので御好きにどうぞと、御伝えしたのですがいいですよね? 」
『 既に決まってんじゃん……いや、いいけど。どこのラジオだよ 』
それって最早、俺に許可をもらうと言うより使わせたことによる報告じゃないかと思うが、髙城さんはいつもこんな調子
スケジュールも俺の事を気にせず定期的な休みがあればいいだろ、的な感覚で入れていく
意外にスパルタなんだから、身が持ちそうに無いときは多々ある
「 貴方が好きな、アニメキャラのブラッドがやるラジオですよ。日付は後日御伝えしますが…… 」
『 待ってブラッドってラジオやってたの? 』
「 えぇ、映画が始まる記念として……みたいですが 」
聞いてないし情報が無かったと言うことに、アニメ特有の配信場所が限定されてるやつだと分かったときにはショックが大きかった
それでも、ブラッドがやるラジオで俺の歌が使われるなら嬉しいに決まっている
『 そっか、ブラッドのラジオで使われるのか……グッズ買お 』
「 給料を殆どアニメグッズに使うの止めたらどうですか…… 」
『 半分は母に渡してるけど、お小遣いはグッズになってるなぁ。俺の唯一の楽しみ 』
「 まぁ、好きにしてください。止めても無駄な事は分かってますし 」
パズルもフィギュアも限定ポスター持ってるが、アニメカフェ限定等はない
行く時間さえ有ればいいのだが殆ど仕事か大学からこそ、諦めてアニメショップに売ってるものばかり買っている
根っからのブラッドファンでヲタクの俺に髙城さんは顳顬を押さえ、溜め息を吐けば言葉を告げる
「 まぁ、ラジオといってもどのぐらいの尺で流すかは彼等次第なので、余り期待して…… 」
『 ブラッドのラジオで俺の曲を流す!!もう、死ねる! 』
「 話を聞いてませんね。それ、映画の主題歌依頼が来た時も言ってませんでしたっけ 」
確かにそんな事を言ってた気もするが、今は関係無いとテンションが上がった俺は此れからやることも張り切って出来そうな気がしていた
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