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「早速だが、こちらは我がサンクレアから持参したものだ。我が国はこちらより気候が良く、良い葡萄が沢山採れる。そのため葡萄酒には自身があるんだ」
早速木箱を開けたオーレリアンが、その中から一本の細長い瓶を取り出す。
ラベルには俺も知ってるお高い酒蔵の印字があった。俺が飲みたいくらいだ。
「フン、そんなので僕に取り入るなんて浅はかにもほどがある。お前が殺しかけた僕のおもちゃ……友人のことは、そんな物で許せはしないよ」
「お前今おもちゃって言った?」
「レオは頭だけじゃなくて、耳もおかしくなったのかな?」
「お前!!しばき倒すぞ!!」
またもやフン、と言ってシエルは不敵に笑った。俺には一切視線もやらずに。
「ならこちらはお気に召すだろうか。聞いた話によると、貴殿は大層紅茶に目がないとか」
今度は上品なブラウンの包装紙に包まれた箱を開ける。
中身は多種多様な紅茶だ。
……明らかにシエルの目の色が変わったのがわかった。何せこいつとは長い付き合いだから。
「これらは温暖な気候のサンクレアでしか採れない茶葉を使用した紅茶だ。もちろんナターリア産の紅茶も味わい深いが、より温暖なサンクレアでしか生産できないものもある」
悔しいが、気候の良いサンクレアには、サンクレアでしか手に入らない様々な趣向品がある。
オーレリアンの言うように、決してナターリア産の物が悪いわけじゃないが、こと趣向品の類に関しては、中途半端な気候のナターリアには多くない。
「紅茶にあう菓子類も用意した。貴殿には幼い妹がいるだろう?きっと菓子類も気に入ってくれると思うのだが」
「まあ良い。これまでのことはとりあえず水に流そう。ところで甘い砂糖菓子はあるか?ヨエルはそういうのを特に好むんだ」
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