第30話 板挟み

13/29
前へ
/1857ページ
次へ
「どうせアレだろ?一匹狼の俺、かっこいいぜ!とか思ってたんだろ。だってレオが協会入ったのって12の時だろ?ちょうどそんな年頃だしなぁ」 「ユイトは弟子のクセに俺を貶して楽しいか…?」  ヤベェ、泣きそうなんだけど。  そしてあながち間違ってないのがまた、悔しい!! 「ゴホン、まあいい。なんとでも言えばいいんだ。別に協調性も、友情、努力、勝利みたいな青春とかそういうのがなくたってな、特級魔術師にはなれるんだから……シクシク」  両手で顔を覆って鼻を啜ってみた。 「なあ、腹減ってね?早いけど飯行こうぜ」 「そうね、暇になっちゃったし。リアもそれでいい?」 「うん、私もちょっとお腹空いてるの」 「俺も喉が渇いていたんだ。そういえば学院にはサロンとかないのか?サンクレアの魔術学園にはちょっとした交流スペースが至る所にあって、空き時間は仲間とお茶をしたりするんだが」 「マジか!おれもサンクレアの魔術学園行ってみたいな」 「確か王立なのよね?だからそういう設備も整ってるの?」 「そうだよ。ここよりはかなり豪華な建物が並んでいる。でも逆に低予算でも優秀な魔術師が育つナターリアは確かにすごいよ」 「嫌味なのか褒めてるのかよくわからないわ」  なんて会話が遠ざかっていく。  いつものように置いていかれたのだった。
/1857ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3598人が本棚に入れています
本棚に追加