第30話 板挟み

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☆ 「ってことがあってな。先輩はアホだけど、後輩は素直で可愛いし、まさに俺は今、板挟みになってんだよ。あー、人気者ってツラァ!」  とある居酒屋の個室で、俺は今オーレリアンと、ジャスとリリルと酒の席を共にしていた。  放課後約束通りに学院を出て、適当に歩きながらどこ行きたい?と聞けば、「飲み屋に行きたい」ということだったので、適当に歓楽街を歩いていると、ちょうどばったりジャスとリリルに出会したのだ。 「懐かしいな。おれらもやったわ、その授業。可もなく不可もなく、だったからそんなに覚えてないが」  ジャスが安いエールが入ったジョッキを煽りながら言った。 「あの頃は学院長はバリス教官じゃなかったしな」  とは、リリルの言葉だ。 「バリスが熱血漢だってのもあるけどさ、それにしても俺の頭叩き過ぎ。だから背が伸びないんだよ」 「いやあ、悪いけどそれは関係ないんじゃない?おれ、お前くらいの頃には今と同じくらい背丈あったし」 「俺も。てか、レオっていつまでも小さいよなぁ」  俺は手にしていたコップを、タン、と勢いよくテーブルに置いた。 「小さい?俺が?まあ、ちょっと平均より足りないが、でも、」 「実際170ある?ないだろ?なあ、どうなんだ?」  オーレリアンの真剣な表情に泣きそうになった。 「やめろ!!その話題はもう終わり!!」  それより、と俺は話題を変えた。 「このあといつものキレイなねぇーちゃんがいる店行かね?留学生のオーレリアンにナターリアの美女でも体験させてやろうと思ってんだけど。もちろん俺の奢りだ」  いつもなら女と奢りには必ずついてくるジャスとリリルだ。しかし2人とも、渋い顔でテーブルの枝豆を摘んだ。 「いやぁ……本当は行きたいんだけどさ」 「んー、ちょっと、最近そういうのやってないって言うか」  はぁ?大丈夫か、コイツら?
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