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☆
「ってことがあってな。先輩はアホだけど、後輩は素直で可愛いし、まさに俺は今、板挟みになってんだよ。あー、人気者ってツラァ!」
とある居酒屋の個室で、俺は今オーレリアンと、ジャスとリリルと酒の席を共にしていた。
放課後約束通りに学院を出て、適当に歩きながらどこ行きたい?と聞けば、「飲み屋に行きたい」ということだったので、適当に歓楽街を歩いていると、ちょうどばったりジャスとリリルに出会したのだ。
「懐かしいな。おれらもやったわ、その授業。可もなく不可もなく、だったからそんなに覚えてないが」
ジャスが安いエールが入ったジョッキを煽りながら言った。
「あの頃は学院長はバリス教官じゃなかったしな」
とは、リリルの言葉だ。
「バリスが熱血漢だってのもあるけどさ、それにしても俺の頭叩き過ぎ。だから背が伸びないんだよ」
「いやあ、悪いけどそれは関係ないんじゃない?おれ、お前くらいの頃には今と同じくらい背丈あったし」
「俺も。てか、レオっていつまでも小さいよなぁ」
俺は手にしていたコップを、タン、と勢いよくテーブルに置いた。
「小さい?俺が?まあ、ちょっと平均より足りないが、でも、」
「実際170ある?ないだろ?なあ、どうなんだ?」
オーレリアンの真剣な表情に泣きそうになった。
「やめろ!!その話題はもう終わり!!」
それより、と俺は話題を変えた。
「このあといつものキレイなねぇーちゃんがいる店行かね?留学生のオーレリアンにナターリアの美女でも体験させてやろうと思ってんだけど。もちろん俺の奢りだ」
いつもなら女と奢りには必ずついてくるジャスとリリルだ。しかし2人とも、渋い顔でテーブルの枝豆を摘んだ。
「いやぁ……本当は行きたいんだけどさ」
「んー、ちょっと、最近そういうのやってないって言うか」
はぁ?大丈夫か、コイツら?
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