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ちょっと待て、と俺はツッコミをいれたかった。いや、実際口を開いた。
しかしすでに俺の話を聞いてくれる雰囲気ではない。
シエルもオーレリアンも、親しげに世間話を始めてしまった。
もういい。
俺の扱いなんてそんなものなのだ。実際。
別に構って欲しいわけじゃないし。死にかけたって、俺の生死なんて紅茶より価値がないんだ、どうせ。
メソメソしそうな所に、メイド長のローザがやって来た。早速オーレリアンが持ち込んだ紅茶を淹れて来たようだ。
それらを全員に給仕して、ローザはすごすごと引き下がる。お茶請けに出された砂糖菓子は、甘い匂いを放っていて。
なんて惨めなのだろうか。
そんでもって、紅茶も菓子も美味い。
俺の隣に座るイリーナが、苦笑いしながらそっと肩を叩いた。
それが余計に俺を惨めにするとは考えもせずに。
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