第1話 クビになった

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第1話 クビになった

☆  朝、二日酔いでもやもやする頭を抱えながら眼を覚ます。  魔術師協会の宿舎だ。ワンルームにベッドと小さなタンスとテーブルしかないが、そのテーブルの上にはこれでもかと酒の空き瓶が並んでいる。  それを暫く眺め、俺はそっと立ち上がった。 「ウェッ、気持ち悪……」  残ったアルコールで眼が回るのを堪えて、蛇口から水を出した。コップ一杯の水を飲んで、少し落ち着く。  とりあえず洗面台で身嗜みを整える。  鏡に映る俺は、ボサボサの金髪で淀んだ蒼い目をしていた。  誰が見てもコイツヤバいなと思うくらい、荒んだ目だ。 「おはようございますっ、レオ様っ」  歯磨き中に部屋に入ってきたのは、ふんわり系のロリ少女だ。シルバーの髪をおさげにしている。 「うるふぁい」 「レオ様、歯磨きしながら話さないでください。歯磨き粉が飛び散りますです」  オカンみたいな事を言うこのロリはピニョという。こいつは俺の召使いみたいなもので、本来の姿は銀竜だ。  色々あって今は俺の配下としてこき使っている。 「レオ様。今日の予定ですが、」 「あー、しんどいし休もうぜ」  そう言うと、ピニョはムクッと頬を膨らませた。万人に好かれそうな、典型的な“怒ってます”の顔だ。俺はロリは範囲外だから、全然ムラっともこない。 「レオ様。ピニョはずっとレオ様のお側にお使えすると決めていますです。でも、お仕事をしっかりしないレオ様にはついていけませんです」 「じゃあさいなら。帰っていいぜ。ついでにそこの空き瓶捨てといてくれ」  そう言えば、ピニョは今度はウルウルと眼に涙を溜めている。 「レオ様ああああ」 「………………冗談だ」 「その間はなんですか!?」  とかいいつつ、俺の背中をポカポカと叩いてくる。鬱陶しいことこの上ない。 「ともかく今日はちゃんと会議室行きますです!」
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