3598人が本棚に入れています
本棚に追加
ピニョは俺のヨレヨレのワイシャツを引っ張る。今日はヤケに押しが強い。
「なんだよ?そんなに重要ななんかがあんのか?」
「議会はいつも重要ですけど!!今日はヤバイです!!」
ヤバいヤバい。いつもヤバいと言うが、そんなにヤバかったことなんてこれまで一度もない。
「な、なんですそのヤル気の無い顔は?」
「別に。行けばいいんだろ、行けば」
「わかれば良いのです!!」
フンスと鼻を鳴らすピニョに、されるがままに着替えをする。ピニョが前日に用意した真っ直ぐの白いシャツに黒いスラックス。どんなに歩いても壊れないような頑丈な軍靴を履く。そこに、本来は漆黒のローブを羽織る。
が、俺はそのいかにも陰気臭いジジィみたいなローブが嫌いだ。
「レオ様!!ローブ、ローブをお忘れです!!」
「はあ?いらねぇよんなもん。ダセェし」
「協会に属する正規魔術師の証です!」
「俺くらいになるとローブなんかなくても魔術師だってわかんだよ。多分」
適当にピニョをあしらって、会議室に向かうべく部屋を出る。
その後を、ピニョがローブを抱えて追いかけてくる。パタパタ走る足音が耳障りだ。
「レ、レオ様っ、少々おまっ、お待ちをっ!!」
完全に無視して足を動かす。宿舎を出れば、すぐそこに魔術師協会本部がある。
本部は左右均等な四階建ての白い建物で、会議室…中でも、協会のトップ12人のみが入れる会議室は四階中央だ。
ピニョを置き去りにして、早足に四階までの階段を上がる。会議室の両開きの扉を思っクソ押し開けた。
最初のコメントを投稿しよう!