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バアアアン、と激しい音がして開いた扉。その向こうに、12人の魔術師が座る円卓がある。
ここに入ることが許された魔術師は、皆が国内最強と言われる魔術師だ。
研究職から戦闘専門と、様々な分野に秀でた魔術師達。
そんで俺も、その12人の一人だ。
「レオンハルト・シュトラウス。5分遅刻だ」
わざわざフルネームで俺を呼んだのは、筋骨隆々すぎてぴっちりしたシャツの、バーサーカーみたいな男で、見た目の通り協会の軍部をまとめている。名前はバリスだ。
「バリス、相変わらず乳首立ってんぞ。服のサイズ考え直した方がいいんじゃね?」
「黙れ!!」
顔を赤くして若干前屈みになる。アホだ。
ちなみにこいつもローブを羽織っていない。なぜなら筋肉を見せびらかしたいからだ。多分。
「これこれ、バリス。子どもの言うことじゃ、気にするでない」
フォフォフォと不気味な笑い声を上げて、俺を子ども扱いするのはアヌスジジィ。長い顎髭と、眼を隠すような長い眉毛が付いてるハゲだ。
「俺はガキじゃない。その眉毛全部剃って前見えるようにしてやろうか?」
「フォフォフォ」
アヌスジジィは都合が悪いと笑って誤魔化す。面白くないジジィだ。
まあそれはさて置き。
俺は気付いた。いや、気付いていたが、気付いていないフリをして、誰かがその状況を説明してくれるのを待っていた。
でも誰も何も言ってくれないから、俺はひとつ咳払いをしてから切り出した。
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