第1話 クビになった

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「ゴホン。俺の見間違いならいいんだが……俺の席はどこだ?」  12人分の席がある円卓。魔術師協会が唯一無二と認めた魔術師のみが座ることの許される12席の椅子。  俺の席がない。  どっからどう見ても俺の席がない。  試しに一回転してもう一度見てみたけどない。  なんならと、逆立ちしてみたけどやっぱりない。  ない。ない。ない。 「レオンハルト……お前、頭は大丈夫か?」  と、円卓の上座に座るおっさんが言った。そのおっさんはザルサス・ギャルドラスという。  魔術師協会のリーダーである男だ。 「いや、俺の椅子が無いんだが、俺の頭は大丈夫か?」 「椅子が無いのは本当だ。お前の頭はおかしいが」 「まてまてまて、俺の頭は正常で、円卓には椅子が無いんだが」  シーンと静まり返る会議室。  ザルサスを除く他の魔術師達が、居心地の悪い空気に尻をもじもじさせている。 「どういうこと?」  ようわからん。説明求む。 「レオンハルトよ。わしもとっても言いにくいんだが、お前に言わなければならないことがある」  ザルサスは嫌に神妙な顔で切り出す。 「昨日の任務は憶えているか?」  昨日の任務? 「豚鼻魔族が人身売買してるから殺せってやつだよな?」
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