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「ゴホン。俺の見間違いならいいんだが……俺の席はどこだ?」
12人分の席がある円卓。魔術師協会が唯一無二と認めた魔術師のみが座ることの許される12席の椅子。
俺の席がない。
どっからどう見ても俺の席がない。
試しに一回転してもう一度見てみたけどない。
なんならと、逆立ちしてみたけどやっぱりない。
ない。ない。ない。
「レオンハルト……お前、頭は大丈夫か?」
と、円卓の上座に座るおっさんが言った。そのおっさんはザルサス・ギャルドラスという。
魔術師協会のリーダーである男だ。
「いや、俺の椅子が無いんだが、俺の頭は大丈夫か?」
「椅子が無いのは本当だ。お前の頭はおかしいが」
「まてまてまて、俺の頭は正常で、円卓には椅子が無いんだが」
シーンと静まり返る会議室。
ザルサスを除く他の魔術師達が、居心地の悪い空気に尻をもじもじさせている。
「どういうこと?」
ようわからん。説明求む。
「レオンハルトよ。わしもとっても言いにくいんだが、お前に言わなければならないことがある」
ザルサスは嫌に神妙な顔で切り出す。
「昨日の任務は憶えているか?」
昨日の任務?
「豚鼻魔族が人身売買してるから殺せってやつだよな?」
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